頭痛

頭痛とは

頭痛とは頭部の一部や全体に生じる痛みの総称です。頭痛の経験者は2~3人に1人、慢性頭痛の方は日本に約3000万人いるとされています。

とくに仕事や育児で多忙な20代~40代の女性に多く、うち約2割が片頭痛を持っています。また約7割は病院を受診していないのが実情です。

頭痛があると仕事のパフォーマンスが低下したり、余暇時間を楽しめなくなったりします。日常生活に支障をきたしている、頭痛の頻度が増えている、鎮痛剤が手放せないなどの方は、病院で医師に相談してください。

頭痛の種類と原因

頭痛の種類は、1次性頭痛と2次性頭痛に大別できます。MRI検査で異常がなければ1次性頭痛、MRI検査と髄液検査で異常があれば2次性頭痛と診断されます。

1次性頭痛(命にかかわらない頭痛)
片頭痛、緊張型頭痛、群発性頭痛、三叉神経痛、大後頭神経痛

2次性頭痛(命にかかわる頭痛
くも膜下出血、脳出血、脳腫瘍、脳動静脈洞血栓症、脳動静脈奇形、髄膜炎
1次性頭痛で多い片頭痛・緊張型頭痛・群発性頭痛と、2次性頭痛の特徴を解説します。

片頭痛

片頭痛の有病率は10人に1人とされています。片頭痛は日常的な動作によりひどくなり、とくに仕事終わりなどの一息ついたときに多いです。女性に多く、月経時に重度化する方が多いです。

軽症の場合は市販の鎮痛剤などで対処できることも多いですが、重度の場合は寝込んだり吐いたりするなど、生活に支障をきたします。左右どちらかがズキズキと脈打つように痛むのが特徴ですが、両側のしめつけを感じる方も多いです。

ほかにも周囲の音・光・においに過敏になったり、手足のしびれが生じたりすることもあります。

緊張型頭痛

緊張型頭痛は人口の7割が経験する頭痛です。日常的な動作で悪化することはなく、ストレスや不安、抑うつ、運動不足などのさまざまな要因が複合して生じます。

緊張型頭痛は両側性でしめつけるような頭痛がし、首や首周辺の筋肉が緊張することもあります。吐き気や嘔吐はともなわず、光や音のどちらか一方のみ過敏になる方もいます。日常生活に支障をきたさないのが特徴です。

群発頭痛

群発頭痛の有病率は1,000人に1人程度です。若い男性に多く、最近は女性や中年以降の方にも増加している頭痛です。アルコールやヒスタミン、ニトログリセリンなどが原因となり起こります。

群発頭痛は15分~180分の発作が、ある時期にまとまって起こることが多いです。片目周辺から側頭部に激痛が群発し、あまりの痛さにじっとしていられなくなり、日常生活が困難になります。発作時には目の充血や涙、鼻づまり、鼻水もともないます。

2次性頭痛

2次性頭痛は命に関わる頭痛です。くも膜下出血、脳出血、脳腫瘍、脳動静脈洞血栓症、脳動静脈奇形、髄膜炎など、何らかの疾患の症状として生じます。

2次性頭痛の原因
頭頸部の外傷、血管障害、非血管性頭蓋内疾患、感染症
薬剤、化学物質、食品、ホメオスターシス障害、目・耳・鼻の異常など

2次性頭痛は経験したことのない頭痛や徐々に悪化する頭痛が特徴です。吐き気や嘔吐、手足の動きづらさ、発熱などをともなう場合は、脳出血やくも膜下出血、髄膜脳炎など命にかかわる疾患が潜んでいる可能性もあるため、すぐに病院を受診してください。

頭痛の検査

命にかかわる2次性頭痛を鑑別するために、CT検査やMRI検査、血液検査をおこないます。

例えば脳出血は、CT検査で大きな出血を見つけることができ、MRI検査だと無症候性の微小脳出血を見つけられる場合もあります。無症候性脳梗塞は年齢を重ねるごとにMRI検査で発見されることが多くなります。ラクナ梗塞はCT検査ではわかりませんが、MRI検査で見つけることができます。

また子どもの場合は、小児・思春期に多い起立性調節障害を確認するための新起立試験をおこないます。ほかにも必要に応じて髄液検査などその検査もあわせて実施します。

頭痛の治療

頭痛の治療には、急性期治療と予防治療があります。

  • 急性期治療:薬物療法が中心
  • 予防治療:生活習慣改善、セルフケア、薬物療法など

片頭痛の急性期治療では薬物療法が中心です。ただ片頭痛が月2回以上ある方は、予防療法を検討することが推奨されています。

群発頭痛は病院で処方されるトリプタン製剤が有効です。急性期治療ではスマトリプタン注射と在宅酸素療法が保険適応となります。急性期治療と予防療法を併用し治療をすすめます。一方で緊張型頭痛は、トリプタン製剤は効果がのぞめず、一般的な鎮痛薬で対応します。

予防療法に関して、頭痛の頻度が月10日以上ある場合は予防薬を検討します。予防薬は毎日服薬する内服薬が多いですが、最新治療では月1回皮下注射する抗CGRP抗体薬も開発されています。

兵庫県明石市の木花診療所|脳神経外科・脳神経内科・頭痛・めまい